現実逃避5.0

覆水盆に返らず

窓 入院生活40日(6)

私が入院したのは、生まれ育った地元の病院だった。いわゆる郊外だが、郊外とは良く言いすぎで、何も無いところだ。そもそも郊外というのは、そういう土地を良く言うための言葉なのかも知れないと思った。踊り場の窓から外を見て、都市生活を懐かしんだりした。歩けるようになってからは、階段昇降が日課になった。リハビリとして、高齢者がやるタイプのスクワット(手すりを掴んでやる)を理学療法士に教わって、しばらくやっていたが、ドレーンが抜けるということでまもなく医者に止められた。階段昇降をするときは、窓から見える風景をスケッチした。窓外は毎日同じ景色だが、スケッチブックを開いて、それをどう切り取るかと考えることは、入院生活の中の数少ない自由だった。また良く言いすぎた。私の暇つぶしだった。

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踊り場風景2

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