現実逃避5.0

覆水盆に返らず

点滴と私 入院生活40日(5)

点滴との関係は手術翌日からはじまり、退院前々日までつづきました。最初の段階は抗菌薬(抗生物質)や、その日に必要な栄養などを、点滴薬(輸液)の袋を1日に8度交換しながら、朝から深夜まで滴下される生活でした。点滴による静脈注射でも、体内に入る液体はどうにかして排出せねばならず、最後の尊厳とズボンを守るためには朝方まで手洗いに立つ必要があります。

f:id:machigaeta:20210705111154j:plain空き缶に落ちる点滴

点滴袋の交換作業も深夜まで続きますが、輸液が無くなるタイミングは必ずしも完全に把握されてはいません。滴下の速度は様々な要因で多少変化するため、患者側が注意を払って申告しなければ、輸液が切れて、血液の逆流や、血管に気泡が入る事態になってしまいます。いずれも入院中にはよくあることだ、とは、実際にそれが起きたときに知りました。血管に気泡が入れば、一大事だと思っていましたが、10ml程度は体内で吸収されるのだそうです。

 血液の逆流は見た目のインパクトが強く、何度か経験しましたが慣れません。逆流は輸液と血液の圧力が逆転したときに起きるようで、輸液の残量が減って、滴下速度が遅くなったときなどは特に注意して、点滴棒を高くして腕を低くするなど、逆サイフォンの原理にもとづく行動をとりました。逆に、点滴袋の交換の際は、腕を滴下している位置まで持ち上げることで、滴下速度を落とし、輸液を保たせることもして、逆サイフォンの原理を強く意識した生活が続きました。

f:id:machigaeta:20210705222622j:plain鯉の滝登り