現実逃避5.0

覆水盆に返らず

陰翳礼賛

今日、普請道楽の人が純日本風の家屋を建てて住まおうとすると、電機や瓦斯や水道などの取り付け方に苦心を払い、何とかしてそれらの施設が日本座敷と調和するように工夫を凝らす風があるのは、自分で家を建てた経験のない者でも、待合料理屋旅館等の座敷へ這入ってみれば常に気が付くことであろう。

先日買ったkindle paperwhiteでの読書が、思いのほか快適なので、谷崎潤一郎の『陰翳礼賛』をDLしてみました。その冒頭が上の文章ですが、いっそ全文のせるのも小粋かもしれません。ずっと気になっていた作品にしては、興味の湧かない出だしでした。短い随筆なので、さっと読めます。内容をまとめると、陰翳を礼賛していました。薄暗いって、いいよね的なことを仰っています。いい題名だと思います。その『陰翳礼賛』を読んだ後に、また水彩を描きました。Ctrl+Zができないと、そのときどきの興味関心がより強く画面に出るようで、陰翳とか、対比であるとか考えているうちにどんどん黒っぽくなっていきました。

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